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「イラストの父」が教える絵画の描法
以下は、A.ルーミスが「クリエイティブ・イラストレーション」の中で引用している、ハワード・パイルによる「描法の概論」の孫引きです。
ルーミスによると、パイルはこのレジュメを彼の学生たちのために書き、それは幾度となくコピーされて、クリエイターからクリエイターへと代々伝えられてきたそうです。

君がこれを手にできたことは幸運であると補償したい(A・ルーミス)



基礎的な知識としての色彩と形

光――自然界ではあらゆる物体が太陽の光り輝く明るさによって照らし出され、目に見えるのである。その結果、自然界の物体のさまざまな色彩や質感が、私たちの目に映るのだ。 このことから、色彩と質感は光に照らされる部分にあリ、陰には無いのだと言えるだろう。なぜなら陰は暗く、暗い中では形も色彩も存在しないからだ。すなわち、形と色彩は明らかに光に従属している。
 
陰――太陽に照らされている物体はだいたい不透明なので、その物体によって太陽の光がさえぎられているとき、そこにできる陰は周囲のものに反射した光によって照らされるだけなので、だいたい黒で不透明である。陰の効果によって、自然界のあらゆる物体は形と立体感が生み出される。陰がなければ何もかも光を平坦に映し、色彩や質感はまぷしく輝くだけになってしまうだろう……。しかし陰ができるおかげで、物体は形と立体感を獲得するのである。

物体の縁が丸い場合は、陰の縁はぼやけた感じになり、直線的であれば、それに相応して鋭い陰になる。そこで、陰のぼやけた感じや鋭さによって、その物体が丸みのあるものか直線的なものであるのかが明らかになるのだ。これらのことから、陰の領域は形と立体性を作り出しはするが、陰それ自体には色彩や質感を表現するカはまったくないということがわかるだろう。

私はこの二つの事実を言いたかったのだ。なぜなら、それはすべての絵の基本だからである。というのは、光と陰の相応した配分を模写することによって、自然に似せた像を表現できるからである。だから、あらゆる美術の講義の目的は、生徒たちに暗部と明部を決して技術的にではなく、物理的に分析させ識別させることにある。初歩の生徒にとって最も必要なのは、物体の形を真似するための専横な規則や方式の体系などではなく、光と陰を分析する習慣と、これらを正確に表現する習慣なのである。

1.質感と色彩の現れる中明部は、光の範囲に属していると考えるべきである。また、実際に目に映るよりも明るく描くべきである。

2.形の現れる中明部は陰の範囲に属していると考られ、実際に目に映るよリも暗く描かれるべきである。

以上は、美術における単純化の秘訣である。方程式は次のように表わされるだろう。

b48142b6.jpg

これがテクニカル・アートの基礎である。絵を学ぷ生徒は、この光と陰の二つの性質を完全に識別できるまでは、基本的な知識の範囲を越えて先走ってはならない。―たとえどんなに彼の作品が手際よく「魅力的」なものに見えようとも。
そして、この授業が進められている間に、生徒は今やっていることが単なるつまらない骨折り仕事などではなく、自分の想像力の中に潜んでいる美的な感覚を表現できるようにするための必然的な練習の過程なのだ、と保証することで、絶え間なく自信を植えつけられることだろう。

ついでながら、ここでもう少し言っておきたい。私のところにやって来る生徒たちは、いつもこの光と陰の二つの性質に混乱しており、しかも中明部を誇張して表現する習憤がしみ込んでいるために、彼らに光と陰の単純化と分析について教えるのにたいていは5、6年もかかるのである。
けれども、この分析と単純化の力量がなくては、おそらくどんな美術作晶も、創造することはおろか真に完成させることはできないのである。光と陰の配分とは自然界の節理であるわけだから、そのことを習慣的に思考できるようになるまでは、自然に美術を創作することはできないのだ。

これを何度も読みかえして自分のものにするように、頭では内容が一瞬にして理解できたにしても、これを体得し、実際に習作の中に定着させることができるようになるまでには、相当な時間がかかるものである。私もこのことは経験してみて納得している。パイル自身が文章の中で言っているように、十分に体得するには「たいていは5、6年もかかる」のだ。そして誰の場合でもこの例にもれないはずだ。(A.ルーミス)

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